レーヌ解放宣言
「おぉ賢者さま、おられましたか」
「これは首領様、こんな粗末なところに何用ですかな」
「レーヌ達が広場に集まって騒いでおるのです。『待遇を改善しろ』『自由を寄こせ』と」
「ふむ」
「勢いは増すばかりで、もはや暴動寸前なのです」
「……して、首領様はどのように収めたいのですかな?」
「ワシとしては、これまで通り、これまでのやり方で治めたいのだが」
「そうですか……」
「どうしたらいいものか……」
「それでは『レーヌ解放宣言』を出しましょう」
「なんと!? それでは彼らにすべてを譲る、と……」
「『レーヌ解放宣言』を出し、『レーヌ』という名を『勤働者』に変えます。さらにレーヌが携わっていた生業を、レーヌ自身に……いや勤働者自身に選択させるのです。さすれば、彼らも自らの望みが叶えられたと納得するでしょう。その実態はこれまでとさほど変わっておらぬのですが……首領様にとっても満足できるものと思われますが、いかがですかな?」
「うぅむ……完璧ですなぁ! その手でいくことにします」
「しかし、気をつけて。このことに勤働者達が気付く時、これまでのシステムはもうもたなくなり、瓦解していくことでしょうから」
※フィクション物語です