ここで、あえて現金(キャッシュ)の良さを再確認してみる
最近、各種メディアやSNS等で、著名人やコメンテーターによる「現金」についての発言が散見されます。
「現金払いやめろ」
「コンビニで現金を使う人は頭悪いんじゃないか?」
等々。
このブログでは、2015年の大晦日と2016年の一発目の更新で「貨幣の在り方が変わる」ということに触れました。(「貨幣制度の終焉もしくは変移についての考察①」「貨幣制度の終焉もしくは変移についての考察②」)
その中の一節(「貨幣制度の終焉もしくは変移についての考察②」)に、
「前回の考察で「この世界から現金がなくなる」ということが確定したわけですが(←ほんの少し誇張アリ笑)」
という部分があります。
ここにカッコ付きで(ほんの少し誇張アリ笑)と記したのは、
「誇張アリ」とか「笑」を付けることによって「オカルト・トンデモを自認してます」ということを明らかにし、逆に自らの「まともさ」をアピールするためでした。
これは2015年の大晦日、及び2016年初頭においては「この世界から現金がなくなる」などと主張することは、極めて非常識で、いかにトンデモなものであったか、ということを示しています。
それが2年後には、当たり前のように、何の疑問もなくメディアやSNS上で著名人によって、その「オカルト・トンデモなもの」が「実現していく下地となるような発言がなされる」ようになる。
一般常識とかコモンセンスみたいなものが、いかに急速に塗り替えられていくのか、よくわかる好例になるのではないでしょうか?
そして、
この一連の流れこそ、このブログでいう「SFの持つ力」なのです。
ここでいうSF(Science Fiction)とは、一般的なSFの持つイメージ(空想・妄想、トンデモ等)ではなく、「十分な知識に基づいた、未来の出来事に関する現実的な推測」 を意味しますが、「当時はまったくのオカルト・トンデモ論であったことが、2年後には当たり前の如く取り扱われ始める」という事例こそ、本来のSFの持つ力だといえるでしょう。
これは見方を変えれば
まるで「書かれた通りに現実が変移していく」ようにも見えてきます。
優れたSF小説には、このような事例が多々見られますが、そういう意味において、このブログもなかなか楽しめる内容になっている、なっていく、のではないでしょうか。
……少々自賛が過ぎ←
当初のエントリ内容から脱線ぎみなので話を元に戻しますが
著名人が当然の如く「今どき現金を使うヤツはバカ」的なことを言い始める時、「現金だからこそ」の部分が人々の認識から除外されがちなので、今回は逆に「現金(キャッシュ)の良さ」について再確認してみたいと思います。
現金の良さの第一点は
「現物で存在している」ということになるでしょうか。
これは、このブログでこれまでさんざん触れてきた「現金のデメリット」と丸被りしているわけですが笑、 今回はあえて「メリット」として捉えたいと思います。
やはり、現物として手にできることによる「存在感」は、捨てがたい魅力となります。
例えば、「百万円」。
¥1,000,000 という数字の表示のみになりますが、
これが、現金だと
ドーン!
どうですかこの圧倒的存在感。
(コレ実は現金ではなく裏がメモ帳のパーティーグッズなのですが笑)
デバイス上ではただの数字の羅列も、実物となればその量の多さに比例して嵩(かさ)も増すこととなります。
数字だけ並んでいても有難みはそう感じられませんが、現物(もしくはそのイメージ)を伴うと、なにかその「力の象徴」が得られたような印象が実際にしてきます。
また、
その「イメージ」が持つ力も大きいものです。
例えば、男性誌の裏表紙で……
「コレを手にしたらなんでも夢が叶った!」みたいなキャプションと共に、美女二人に囲まれつつ大量の札束のお風呂に浸かった画像の広告。
映画やアニメ等で、泥棒が莫大な現金を前に目を輝かせているワンシーン。
あれは「現金の持つイメージ」が人々に共有されているからこそ可能になる表現であって、それが失われた世界では、あり得ない描写となってしまいます。
ハリウッド映画をはじめとして、銀行強盗の描写は面白いものが多いのですが、現金がなくなり数字化された世界では、せいぜいハッカーがキーボードをカチャカチャして銀行のセキュリティを突破する、くらいのものになるでしょう。
その様子を映画の絵面として楽しめるのか、はなはだ疑問に感じるところです。
さて……
次は、現金の持つ「究極の良さ」である、「電気やデバイスに依存しない」ということについて考えてみます。
お札や硬貨は、現物として存在しているために、それをなくさない限り、手元に置いておくことができます。
取り引きをする際、それ自体をやり取りすることで、目の前で決済が簡単に行えます。
これに対し
「数字化されたもの(電子的に表されたお金)」の場合、
資産内容を調べたり、取り引きしたりする際、「電気」や「通信システム」、さらに各種のデバイスやカード等が必要不可欠となります。
例えば、
モバイルデバイス(スマホ・携帯)等を使って決済するようなシステムの場合、「正常な挙動をするデバイス」を顧客側が常に用意していなければなりません。
デバイスを落として壊してしまった
デバイスをなくしてしまった
価格コードを読み取るためのカメラがうまく機能しない
電池レベルがゼロになってしまった
……等の場合、現金であれば簡単に処理できることが、まったくできない状態になってしまいます。
こういった場合はどうするのか、それぞれの事例に対する現実的な対応策を考えておかなければ、「現金の存在しない世界」を創ることは難しいでしょう。
さらに、
考慮しておきたいのが「災害や事故が発生した時」のことです。
地震や津波、台風、大雨、洪水、地すべり等によって送電・通信網が破断した場合や、電力を生み出す施設が事故等で稼働できなくなった場合、デバイスの電源がなくなるのはもちろん、オンラインを使った「取り引きデータの通信」も一切できなくなってしまいます。
知っての通り、日本は災害大国です。
上記のような、「停電」や「オンライン通信ができなくなる」状況が生じることも珍しくありません。
被害が大きい地域には、政治的な対応が為され、さまざまな対策が早急に講じられますが、中途半端な被害地域は対応が後回しにされがちです。
実際に体験したことなのですが
ある震災時、家屋その他の被害はほとんどなかったものの、停電が数日続いたことがありました。
被害の大きな震源地域から離れていたこともあって、その状況が報道されることもなければ、公的に何か対策が為されることもありませんでした。
その間も、食料や電池等は自己調達しなければならず、スーパー等に出向くわけですが、そのスーパーも停電中なため、レジは使えず電卓で計算、当然カード決済はできず、支払いは現金のみ、といった状況でした。
もし、
「今どき現金決済するヤツはバカ。カードかモバイル決済でいいだろ?」
などという意見が
即座にそのまま反映された世界になっていたとしたら、
また、実際にそのように行動していたとしたら(現金の所持をやめていたら)、
この時いったいどのような状況になっていたのでしょうか?
(もちろん「タンス預金しておく」というような回答もあるのでしょうが)
「現金をなくすべき」
ということに関してはまったく同じ意見なのですが、
安易にそれを発言する前に、「停電時の決済方法」くらいは、現金取り引きへの対案として提示しておいてほしいところです。
「それじゃあ与配主義ではどうすんの? 現金が存在してないんでしょ」
まさに、それ、です。
ということで、与配主義における決済方法を考えてみます。
与配主義では「マイナンバーカード」(もしくはそれに近いもの)にキャッシュ機能を持たせることになります。
「どこの銀行にどれだけのお金(与配主義下では順番決定ポイント)があるのか」が、この1枚のカードにすべてまとめられます(というか、与配主義下では銀行自体存在しなくなっていることでしょう……)
モノを購入する際はこのカードをピッとすることで決済が即座に完了します(お金の替わりに口座から「順番決定ポイント」が引かれることとなります)
災害や事故等で停電した際は、「電池式のレジ」を使って普段と同じくカード決済を行うことになります(電池式のレジは既に存在しているので、新たに開発する必要がありません)
この場合、通信機能は損なわれているので、カードを使って「口座から引き落とす」のではなく、「いくら使ったのか」を「とりあえず記録しておく」という形になります。
よって、その電池式レジに記憶領域を設けるか、既存であるレシート機能を用いて、データを保存しておき、後日、電気通信網が復旧した後に、データセンターと通信することで口座の内容に反映することとなります。
……ということで、
与配主義における決済の方法が一部提示されたわけですが、ついでにさらにまとめてみます。
・マイナンバーカードにキャッシュ機能を持たせる
・複数の生体情報(指紋、掌紋、声紋、虹彩、DNA等)をカードに登録しておき、カード盗難への対策とする
・3千円以上(くらいに相当する)買い物をする場合は、「カード」と「生体情報」を同時に認証して本人確認を徹底する
・すべての「順番決定ポイント」のやり取りを記録する(ブロックチェーン方式)
・一人に一口座のみ付与される(その口座以外への一個人のプール(脱税、へそくり等)ができなくなる)
・企業においては各決済部門の数だけ口座を作れる(ただしポイントのやり取りがすべて記録されるので脱税や粉飾決済、裏金作り、違法・迂回献金等はできない)
・個人間の順番決定ポイントの直接的なやり取りはできない(お小遣い、お年玉等も直接やり取りはできず、ATM的な機関を通して行う)
・オークション等で個人間のやり取りが発生する場合、購入者のポイントをいったん中央ポイントセンター(的な機関)に送り、そこから販売者へポイントが移される(すべてのやり取りを記録するため)
・個人間の直接的な取り引きができないため、オレオレ詐欺等が発生しづらい
・仮になんらかの詐欺が発生しても、ポイントのやり取りや動きをすべて追えるので被害を取り戻しやすくなる
・個人間の直接的な取り引きができないことと、ポイントのやり取りや動きのすべてを追えることにより、ドラッグその他、違法な物品の流通等もできにくくなる
・カード決済なので、モバイルデバイスの状態(故障、電池なし等)を気にかけなくてよい
・仮にカードを紛失しても、再発行されるまでは生体情報のみで買い物ができる(というか、生体情報をオンライン上に保存しておき、その都度参照すればカード決済さえ必要なくなりますね………)
・国民のみならず外国からの観光客も、パスポートに紐づいたカードを作って決済することになる(生体情報も登録する)
・国内にいるすべての人の生体情報があるため、犯罪発生時、犯人の特定に至りやすい
・国内にいるすべての人の生体情報があるため、災害や事故時、身元特定に至りやすい
・仮に生体情報のない人がいた場合、必ず生体情報を登録することとなる
以上ような感じでしょうか。
なんだか
なかなかにディストピアな感じがしないでもないのですが笑笑
これらによって、お金に関する犯罪はもちろん、それ以外の犯罪もかなり抑えられるようになるでしょう。
これまで、人類は何千年にも渡って、強盗や詐欺、違法な取り引き等に悩まされてきました。
法律を変えたり、厳罰を科したとしても、それらはなくなりませんでした。
「逃げ切れれば、加害側に大きな利益が生じるからでは?」
まさにその通りなのですが、別の面から見れば
「それ(強盗や詐欺、違法取り引き等)ができ、逃げ切ることのできる(こともある)システムだから、犯罪に手を染めてしまう」
という部分もあるでしょう。
しかし
「それができなくなるシステム」が新たに創出されることによって、
被害者はもちろん、
これまでは犯罪者にならざるを得なかった人までが救われる時代がやってくるのです。
2018年現在、
強盗、詐欺、違法取り引き、粉飾決済、違法・迂回献金、脱税等々……
いまだにあたりまえのように発生し続けています。
毎年毎年、同じような犯罪が同じような頻度で、何度も何度も何度も何度も繰り返されてきましたが、結局、それらへの絶対的な対策が見出せないまま、ここまで来てしまいました。
そのことは「人の知性」を疑わせる悲しい事実ではありましたが、ここへきてようやく与配主義及び順番決定制度というアイデア(idea)が産み出されたことにより、終わりを告げることとなるでしょう。
現金には現金の良さがあることをじゅうぶんに知った上で、その良さを生かしつつ、
「現金の存在しない世界」を創ることにより、これまでの世界においては想像もつかなかったほどの「安心で安全で安定的な世界がやってくる」ということをSF的に予想しつつ、今回の更新を終わりにします。
与配主義とは
共産主義においては独裁と規制、資本主義においては競争と奪い合いによって構築されているシステムを、「より多く与えたり配ったりした存在(個人・会社等)が、より多くの利益を受けられる」形にしたものが「与配主義」となる。
より多く与えた存在は、より多くの「順番決定ポイント」を公的機関から与えられる。
順番決定ポイントとは
これまでの貨幣が担ってきた役割を「順番を決めるポイント」に置き換えたものが貨幣制度に代わる「順番決定制度」となる。
何らかのモノを購入したり何らかのサービスを受ける際(新商品の購入時や病院・銀行・行政サービス等の順番待ち等)、人は順番決定ポイントが多い順にソート(並べ替え)され、順番決定ポイントが多い人ほど、さまざまなモノやサービスをより早く、より多く享受できる。
このことにより、家電製品の福袋や新商品を購入する際、厳寒期や炎天下に何日も前から並ぶシーンが消え去る。
また、このシステムは、資本主義や共産主義下における税金納付において、たくさん納めても何の見返りもない、という弊害を完全に克服する(たくさん納めた人(与えた人)ほど、たくさんの順番決定ポイントをもらえるから)
全員公務員制度とは
生まれたてホカホカの赤ちゃんから、寝たきり老人まで国民全員を公務員とする制度。
全員に対して給料的なものとして必要最低限の順番決定ポイントが与えられる。
それぞれのより具体的なイメージは