空想・科学・特異点 

Science Fiction Singularity

キャッシュレス決済のシステムを考えてみる

 

先日、キャッシュレスでの決済システムを3メガ銀行が共同で開発することが報道されました。

 

www.nikkei.com

 

以下は、その一部抜粋です。

 三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクグループは、スマートフォンで手軽に支払いができる「QRコード決済」に参入する。規格を統一し、共同でシステムを開発することで合意した。中国などで広がる支払い手法を日本でも導入し、訪日外国人客の取り込みも狙う。これを機に日本でもキャッシュレス化が進む可能性がある。

 

日本経済新聞3メガ銀、QRコード決済に参入へ 規格を統一より      

転載ココまで↑

 

 

前回の更新「ここで、あえて現金(キャッシュ)の良さを再確認してみる」において、

キャッシュレスな決済システムを、スマホや携帯電話等のモバイルデバイスに依存すると

 

・紛失したり、壊れたり、電池がなくなったり、カメラの調子が悪かったり……な場合に、決済(買い物)がまったくできなくなってしまう

 

・災害や事故等で電気や通信システムが破断した際、決済ができなくなってしまう

 

等の弊害があることが示されました。

 

よって、モバイルデバイスでの「QRコード決済」にはさまざまな難点が存在しているということがわかります。

 

ただ、記事中にもある通り、QRコード決済が主流となっている中国からの訪日客にとって都合の良い形を作ることで、商機を逃さないようにする、といった案件であることを考えれば、このような取り組みも否定されるものではないのかもしれません。

 

 

 

また、別の報道では

小売業者がレジで現金を引き出すサービスを開始する、といったものがありました。

 

www.jiji.com

 

 以下、その転載です。

 イオンは18日、顧客が銀行のキャッシュカードを使い、現金を店頭レジで引き出せるサービスを2018年4月に始めることを明らかにした。キャッシュカードに付帯する、買い物の支払いと同時に口座から代金が引き落とされる「デビットカード」決済の新機能を利用する。クレジットカードを持たない高齢者らの利便性向上を図る。

 銀行や現金自動預払機(ATМ)以外で現金を引き出せるサービスは「キャッシュアウト」と呼ばれ、4月に規制が緩和されて可能となった。欧米では普及しているが、日本ではイオンが初のケースになる見込み。

 店頭レジがATМ代わりになるが、引き出し可能額は1万円以下とする見通し。手数料をどうするかは検討中。傘下の総合スーパー、イオンリテールが18年4月に約100店舗で始め、19年2月までに本州と四国の約400店舗に拡大する(2017/12/18-16:38)

時事ドットコムイオン、レジで現金引き出し=銀行キャッシュカード利用より      

転載ココまで↑

 

 

これは、銀行ではなく小売業者がそのサービスを展開する、という形になっていて、わざわざATMまで行かなくても、買い物時に現金を引き出すことが可能になる、とのことです。

 

個人的には、防犯的にどうなのか(レジ打ちの従業員や後ろで待っている客等に暗証番号が見えるのでは?)ということ、さらには、レジを待つ殺気だった長蛇の列を尻目に、悠長に支払いと引き出しの両方を行えるのか、ということに対して(特に後者において笑)、あまり現実的ではないのでは? と感じます。

 

 

ただ、ここで着目したいのは、記事中にある「クレジットカードを持たない高齢者らの利便性向上を図る」という部分です。

 

クレジットカードがなくても、クレジットカードのように使用できるキャッシュカード(デビットカード)の機能を利用して現金を引き出す、とのことですが、それができるのであれば、それをそのまま「キャッシュレス社会」に応用すればいいのではないのでしょうか?

 

わざわざ、新たにそのためのシステムを開発しなくても、既存のキャッシュカード(デビットカード)でキャッシュレスに支払いが済むので、銀行にとっても小売業にとっても政府にとっても魅力的な形であるはずです。

 

 

防犯的な面(暗証番号を盗み見られる、カードを落とした、なくした、奪われた等)における懸念には、キャッシュカード(デビットカード)にICチップを埋め込み、指紋や掌紋等の生体情報を記録しておくことで、ほぼ100%防げます(レジ打ちの従業員は指紋認証時、その指が本当に本人のものであるか、常に指先を確認することにはなりますが ←けっこうキツめのブラックなジョーク笑)。

 

というか、実際は、既にそういったカードも存在している(生体認証ICキャッシュカード)ので、これも新たに開発する必要はありません。

 

よって

それらを統合した「ICデビットキャッシュカード」を、今後のキャッシュレス社会の決済システムとして検討していくのが、最も負荷が掛からず、人々に受け入れられやすい形であるという点において、賢い方策といえるのではないでしょうか。

 

 

また、ここまでくると、もはや「銀行間のカードの違い」に意味が見出せなくなってきます。

 

これまでの社会においては、クレジットカードにしろポイントカードにしろ

 

・Aカードにポイントを貯めるには、aグループに属する企業のものを購入しなければなりません

・Bカードにポイントを貯めるには、bグループに属する企業のものを購入しなければなりません

 

といったような

 

カードごとに「企業の取り込み合戦」のようなことが行われてきました。

 

(今後は「銀行が発行する仮想通貨において、このようなことが行われる」とSF的に予想しておきます)

 

しかし、こういったような形は、利用者にとっても、グループに縛られる企業にとっても、面倒かつ足かせのような存在にしかなって来なかったのではないでしょうか? 

 

 

キャッシュレス社会が、キャッシュ社会と同様に普及するためには、その決済システムが「現金」と同じような形 ──── 国内のどこに行っても、どの店に入っても、同じものを用いて支払いができなければなりません。

 

また、

使うカードの違い(銀行の違い)によって、 利用できる店舗や付与されるポイント数に差が生じる、というようなことがあってもいけません。

 

なぜなら

「そのような決済システムなら現金を使った方がマシ」

と人々に思わせるからです。

 

 

具体例を挙げるとすれば……

 

北海道に行って味噌ラーメンを食べる時も

沖縄に行って沖縄そばを食べる時も

同じ千円札を出せばよい、

という形は、極めてシンプルでわかりやすく、使い勝手のよいものです。

 

これが、カード決済において

「うちの店ではこのカード(銀行)は扱ってないんだ」とか

「こっちのカードにはポイント付かないけどイイ?」

といった差が出るようだと、

「場面ごとに使い分ける必要性」が生じ、その面倒さから、キャッシュレス決済自体が敬遠されることとなるでしょう。

 

 

よって

キャッシュ社会と同様に、本気でキャッシュレス社会を普及させたいのであれば

すべての銀行のカード を──── 個人がどこの銀行を選んでいたとしても ──── 「統一されたICデビットキャッシュカード」にし、「共通のサービス内容」にしなければなりません。

 

 

そこで……

 

検討されるのが「マイナンバーカード」となります。

 

既に「ひとりひとりに紐づけられたカード」がマイナンバーカードとして存在しているため、これを「統一されたICデビットキャッシュカード」として利用すれば、新たにそのようなカードを作り出す必要がないからです。

 

これが実現すれば

マイナンバーカード1枚で、どの銀行の口座も管理できるようになります。

 

レジでは、カードを読み込み部に乗せた後、指や手(目や声等)を認証機でチェック、認証後に引き落とす銀行口座を選択すれば、一瞬で会計を終わらせることができます。

 

カードやサービスの内容を統一することにより、使う場所や引き出すATMによるサービスの違い(手数料や付与ポイント数等)を気にする必要がなくなります。

 

緊急時のためにある程度の現金を手元に用意しておくだけで、あとは全てのレジにおいてストレスなく決済が行えることとなるのです。

 

カード使用時は、カードと事前登録された生体情報を照らし合わせることで、誤使用や紛失、窃盗等による被害をほぼ防げます。

 

また、その登録された生体情報により、なんらかの事件が起きた際も、未解決で終わることが少なくなる等の、副次的な効果も期待できます。

 

さらに……

このシステムが進化すると、すべての取り引きがブロックチェーンによって記録されるようになるでしょう。

 

このことにより、ほとんどの経済的な犯罪(詐欺、脱税、談合、賄賂、違法取り引き等)をも根絶させることができるようになるのです。

 

 

さて……

 

ここまで書いてきて思うのは

「まるでそうなることが決まっているかのようである」ということです。

 

 

世界は

現金の世界から数字(キャッシュレス)の世界へ移行しつつある。

 

決済に使うものとして

クレジットカードではなく決済用キャッシュカード(デビットカード)が既に存在している。

 

デビットカードの安全面での不安における代替として「生体認証ICキャッシュカード」が既に存在している。

 

複数のキャッシュカードを持たなくとも、ひとりひとりに紐づけされたカードが既に存在するため(マイナンバーカード)、すべての口座をそれにまとめることによって「お財布カード」が完成する。

 

という形。

 

なんだか、そうなるために、それぞれが存在してきた、ように感じませんか?

 

 

また、

お金は

硬貨として一円玉、五円玉、十円玉、五十円玉、百円玉、五百円玉が存在し、

紙幣として千円札、二千円札、五千円札、一万円札が存在していますが、

 

マイナンバーカードを決済システムに採用すれば

「お財布カード」として1枚で済むようになります。

 

 

モバイルデバイスは気軽に使えて便利ですが、キャッシュレスシステムには向きません。

なぜなら、先に挙げた考察はもちろんのこと、いまだにスマホでない携帯電話(支払い機能がついてない機種を含む)にこだわる人が少なくないからです。

 

また、複数のキャッシュカードやクレジットカード、さらにポイントカード等、カード類にうんざりしている人にとって、さらにキャッシュレス決済用のカードを銀行ごとに用意する、などという話は非現実的です。

 

よって

余分なお金も

複数のキャッシュカードやクレジットカードも

財布から追い出すことのできる

「お財布マイナンバーカード」が現実味を帯びてくるのです。

 

 

そしてこの形は

キャッシュレス決済のみならず

このブログで提唱している

「与配主義経済」や「順番決定制度」においても使われる形となるのです。

 

 

マイナンバーカード自体に嫌悪感を抱いている人にとっては、受け入れがたい形となるかもしれませんが、極めて現実的に、最善の方法を模索すると、このようなものにならざるをえないのではないでしょうか?

 

 

現在の日本のキャッシュレス化は、他の先進国であるアメリカやイギリス、中国などと比べて、低い水準に留まるそうです。

 

しかし、「お財布マイナンバーカード」を産み出すことによって、一気に世界のキャッシュレス化の頂点に立てるようになる、とSF的に予想して、今回の更新を終わりにしたいと思います。

 

 

 

 

※2018年7月11日追記

このエントリで提唱したことと似たようなことが、既にインドで現実化されてました。

詳しくは「それは既に始まっている」へどうぞ。