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貨幣制度の終焉もしくは変移についての考察②

前回、貨幣制度のあり方の変化について考察したのですが貨幣制度の終焉もしくは変移についての考察①、今回はその続きをまとめたいと思います。

 

前回の考察で「この世界から現金がなくなる」ということが確定したわけですが(←ほんの少し誇張アリ笑)「 貨幣(現金)がその姿を消しても、概念として残っていれば、問題なく経済が機能していくだろう」ということが示されました。

 

そこで、今回は「貨幣を現物として造らない世界」のメリット・デメリットを探っていきます。

 

まずデメリットから。

 

これは「設備投資」に尽きるでしょう。

 

前回、考察したように「すべての買い物を銀行のキャッシュカードを通して行うことで、現金の存在が必要なくなる」わけですが、この場合、全ての小売店にカードリーダーが必要になります。

 

スーパーやホームセンター等では既にそういった機器がある場合が多いのですが(クレジットカードの引き落とし等)、もっと小規模な小売り・サービス業では現金取り引きが一般的です。

 

安くはない機器類を、全ての小売り・サービス業の店舗に導入するのは、なかなか難儀なことだろうと予測されます。

 

街の小さな駄菓子店に通信機能付きのカードリーダーを導入したとして、その費用を回収するのにどれくらいかかるのか見当もつかないのですが、期限なしの税金控除、もしくは全額国費負担するなどして、その導入が負担にならない形を作る必要があるでしょう。

 

そこまですることによって、デメリットの部分が最小限に抑えられると考えられるからです。

 

 

さて……

 

デメリットはこれくらいにして、それを補って余りあるメリットについて考えてみましょう。

 

 まずは最大のメリットから。

 

これは「貨幣(紙幣・硬貨)を製造する費用が浮く」ことに尽きます。

 

貨幣を製造する際のデメリットについては、以前更新した「次世代の社会・経済システムに関するひとつの開示 」のエントリに詳しく書いてあるのでそちらを参照してください。

 

簡単にまとめれば「貨幣を生み出すために、紙幣の原料、インク、裁断機、硬貨の原料、打ち抜き機、電気代、人件費……等々、非常に多くのエネルギーやコストが掛かっている」ということなのですが、貨幣を「数字化」することにより、それが必要なくなるのです。

 

 貨幣を造るために発生していた公的な負担が一切なくなることによって、そこに掛かっていた費用がすべて他に使える、ということは非常に魅力的ではないでしょうか?

 

 

もっと現実的なメリットとしては「レジにおける支払い時のスムーズさ加減」が挙げられます。

 

カードで「ピッ」

 

これだけです。

現金の受け渡しが一切必要ないのです。

 

スーパーではプリペイドカードやクレジットカードによるこのような支払い方法も普及していますが、コンビニやその他小売店では現金の受け渡しが一般的です。

 

客側が紙幣を数え硬貨を数え店員に渡し、店員がそれを数え確認し、レジからお釣りを取り出し数え、客がそれを数えて確認する

 

これが一瞬で「ピッ」っと

 

朝のコンビニ、急いでいるのにレジに3人くらい並んでいてなかなか進まない。挙句に前の客が硬貨を数えている時にそれを落としてしまい、床に這いつくばって探し出す……焦ったりイライラしたりする状況だと思われますが、これがカード決済ならピッピッピッっとサクサクさばいていけるのです。

 

どうでしょう?

 

カード決済の魅力が見えてきたのではないでしょうか?

 

 

さらに現実的なメリットもあります。

それは「財布がいらなくなる」ということです。

 

長財布に紙幣と硬貨とカード。

二つ折り財布に紙幣、小銭入れに硬貨。

 

外出する際は必携のもの、財布が必要なくなるのです。

 

支払い時、紙幣を出し小銭でお釣り。

次の支払い時も紙幣を出して小銭でお釣り。

財布を見てみると500円硬貨が3つくらいあったりしてその重たいことかさばること。

財布が重くて(額ではなく小銭が多くて)ズボンがズリ落ちてくることすらあるほどです。

 

これが銀行のキャッシュカード1枚にまとめられるのです。

お札や硬貨の重さ、かさばりから解放されるのです。

 

 

 

「貨幣をなくす」

 

このことを言うと必ず出てくるのが

 

「物々交換の時代に戻るのか?」

 

という意見です。

 

これからはむしろ逆で

 

「まだ貨幣を使うつもりなのか?」

 

そんな時代になってくるのかもしれません。