空想・科学・特異点 

Science Fiction Singularity

共産主義で参考になること → 土地の公有・国有化

 

このブログでは

共産主義でも、資本主義でもなく」

共産主義の良い部分、資本主義の良い部分、両方を取り入れた」

「まったく新しい経済システム」を模索しているわけですが、

前回のエントリで中国の社会信用システムを取り上げたついでに、「共産主義で行われていることの中で参考になる部分」を考察してみたいと思います。

 

その参考になる部分というのは

土地の公有(国有)化、です。

 

現在、資本主義国においては土地や建物といった不動産を私有し、売買できます(全ての国がそうなのかはわかりませんが)。

 

そういった不動産に固定資産税がかかることもそうですが、それ以外にも、建物の建ぺい率や容積率、宅地と農地の区分け、危険物の取り扱い等に関して、さまざまな規制が存在していることを考えれば、それを「完全な私有」と捉えていいのか疑問に感じるところではありますが、一応「自分のもの」「自社のもの」という形にはできます。

 

 「不動産」というだけあって

簡単にやり取りできるものではなく、

個人なり企業なりが持つ資産の目安として大きな存在になっています。

 

特に土地に関しては

発行総数の決まった株式と似ていて(他国から奪うか、海底火山隆起等で新たに増えない限り、上限が完全に決まっている)、その価格の上下動がさまざまな経済活動を誘発していきます。

 

 

ただ……

逆に、それが資産の目安になっていることから、

 ・土地や建物といったものを担保にしないと、銀行からまとまった額の借り入れがしづらい

流動性が低いために、資本流入によって過熱化(バブル化)しやすい

 等のデメリットが生じます。

 

 

「それを資本の目安にしている」ことによって生じる「経済上の問題」。

 

ということで、

土地を資本の目安にしなくてもよい状態を作れば(土地の公有・国有化)、「土地」によって生じる経済上のデメリットが存在しなくなるのです(そこで生み出されていた経済活動は失われることになりますが)。

 

もちろん、現在それを所有している人や会社にとっては受け入れがたいことだとは思いますが、その「所有権」を「使用権」等に改めることで、これまでとほぼ同様に、その土地を利用できるとしたら、まったくあり得ないこと、ともいえないのではないでしょうか。

 

 

 

次は、土地の公有・国有化によって生じるメリットを考えてみます。

 

これに関しては、なんといっても

「インフラを完璧に近い形に構築できる」

ということになります。

 

大規模なインフラが整備されることになれば

土地の所有者との権利関係の調整が膨大なものになり、時間や労力がかかるだけでなく、それに反対する人も数多く出てくることになります。

 

そのことにより

造ろうとしたものが予定(設計)通りにできなくなったり、計画そのものが頓挫したりする、こともあり得ます。

 

こういった場合、反対する人たちに対して批判が生じがちですが、

その反対する理由が「先祖代々から伝わるものを守る」というような、お金の問題ではなく、心の作用によって為されるものだとしたら、一概に批判することもできないでしょう。

 

 

ただ、

この「先祖代々」という部分も

元をただせば「所有意識」から発生するものです。

 

「自分の土地が奪われる」と考えれば抵抗感も湧きますが

「土地とは元来みんなのもの、公的なものなんだ」という感覚があれば

社会的な利便性が大きく増すインフラに対して、「思うことはあれど協力していく」という姿勢が一般的になると思われます。

 

 

そこにおいて行われるインフラの整備に関して、

当該地域の「使用権」を持つ人のみならず、その周辺に住む人を含めた住民投票を行い

「56%以上の賛成があったら、全員それに従う」

といったような形で法を整備するのです。

(56%というのはまったくのてきとうな数値です笑)

 

 

 

 ……とここまで書いてきて思うのが

 

土地とはいったい誰に属するものなのか

 

ということです。

 

 

現代に生きる我々にとって

生まれてきて気づいたらそれらはすべて既に誰かのもの

になっています。

 

そのことについて、 

「地球」にどう思うか聞いてみたいところです←

 

 

「勝手に区分けして『ここからここまでは〇〇のもの、ここからここまでは△△のもの』とかやってるけど、もともとそれ全部俺のなんだけど……」

 

 

その名義は、個人だったり企業だったり国だったりとさまざまですが、

俯瞰して眺めてみればぜんぶ「地球の陸地」です。

 

それは

人間だけのものではなくて、動物や植物、昆虫、そして微生物も含めて共同で「使用している」ものである、という認識を忘れないようにしたいところです。

 

 

資本主義において、そのような見地に立てるのかはかなりの疑問ですが、

与配主義においては、そういった認識をコモンセンス、一般常識と捉え、土地を公有化することとなります。

 

そのことにより、資本主義下ではなかなか解決できなかった、土地と権利そして経済の間で発生するさまざまな難しい問題を、簡単かつ美しく解決していけるだろうことをSF的に予想して、今回の更新を終わりにします。