与配主義における土地の公有・国有化の意味 それが何をもたらすのか
与配主義とは
共産主義においては独裁と規制、資本主義においては競争と奪い合いによって構築されているシステムを、「より多く与えたり配ったりした存在(個人・会社等)が、より多くの利益を受けられる」というシステムに変えたものが「与配主義」となる。
より多く与えた存在は、より多くの「順番決定ポイント」を公的機関から与えられる。
順番決定ポイントとは
これまでの貨幣が担ってきた役割を「順番を決めるポイント」に置き換えたものが貨幣制度に代わる「順番決定制度」となる。
何らかのモノを購入したり何らかのサービスを受ける際、順番待ちが生じるような場合、人は順番決定ポイントが多い順にソート(並べ替え)される。
順番決定ポイントが多い人ほど、さまざまなモノやサービスをより早く、より多く享受できることとができる。
このことにより、新製品の購入時、炎天下や極寒時に発売日の何日も前から並ぶといった行為が一切必要なくなる。また、コンサートのチケット等も早い者勝ちではなくなる。
また、このシステムは資本主義や共産主義下の税金納付において、たくさん納めても何の見返りもない、という弊害を完全に克服する(たくさん納付した人=たくさん与えた人、ということになり、より多くのポイントを与えられる)
全員公務員制度とは
生まれたてホカホカの赤ちゃんから、寝たきり老人まで国民全員を公務員とする制度。
全員に対して給料的なものとして必要最低限の順番決定ポイントが与えられる。
それぞれのより具体的なイメージは
前回の更新(「共産主義で参考になること → 土地の公有・国有化」)で、
土地を公有化することにより
「土地の私有において発生する権利上の問題や、経済面における問題が解決する」
ということが示されました。
このブログでは
「共産主義でも、資本主義でもなく」
「共産主義の良い部分、資本主義の良い部分、両方を取り入れた」
「まったく新しい経済・社会システム」を模索する中で
「与配主義」というアイデア(idea)を考察しています。
この与配主義では「土地を公有化する」のですが
今回は、なぜそうするのか考えてみたいと思います。
前回の更新でも触れましたが、
土地とは『地球の陸地』そのものであり、それを『誰かの所有物』として扱うこと自体がそもそもおかしい
と感じることはありませんか?
土地を『誰かのもの』として限定することによって、全体的な経済や社会的恩恵の妨げになっている事例が多々あり、そういったシステムそのものがかえって経済の足かせになっているように見えることがあるのです。
その実例として
・インフラ整備において、計画に反対する土地の権利者の存在により、予定(計画)が変更されたり、事業自体が棚上げになったりする
・土地や建物といった流動性の低い不動産に資本が流入することにより、市場が過熱化(バブル化)する。不動産関連の市場は活性化するが、その他の市場にはあまり資本が流れず、経済の低成長が続く
といったようなことが挙げられます。
以上のことについては前回の更新でも取り上げ考察しましたが、
今回は、この他に
「土地そのものの他に『土地から得られるもの』も公有化する」
ことについて考えてみたいと思います。
この
「土地から得られるもの」というのは「資源」にあたります。
資本主義においては、
その土地から産出する資源は、その土地の権利者のもの
という扱いになっています。
しかし、その資源はいったい何から派生しているものなのでしょうか?
それは
「地球に埋蔵されているもの」です。
「地球を構成している成分の一部」です。
それを「誰かのもの」として扱うことは
果たして本当に正しいこと、まともなことと言えるのでしょうか?
地球は言います。
「誰がどのような名前を付けてそれを所有したつもりでも、それらはすべて私のもの。私自身ょ」
笑。
誰か、とか、どこかの組織のものではないのです。
与配主義においては
この見地に立つことにより
「土地およびそこから産出されるものを公有化する」ことになるのです。
このことにより、
その土地から産出されるさまざまなモノ(エネルギー、鉱物等)を社会的な資源とすることができ、それが与配主義(与える、配る)の原資の一部となります。
これまでは、何らかの製品を造るにあたっては、そういった資源(エネルギー、原材料等)を購入しなければ(買わなければ)なりませんでした。
そのことによって、そのぶんの価格が商品代金に上乗せされ、値段に反映されていました。
しかし、
与配主義では、それら(エネルギー、鉱物等)を「買う必要がない」のです。
それ自体が「与えられ」「配られる」からです。
そして
この形が社会・経済のすべての面で反映されることになるのです。
これは、モノを売るという販売の面だけでなく、製造する側でも同じです。
知識なり、技術なり、労働力といったものが
社会に対して「与えられ」「配られる」ことになります。
その見返りとして
「お金」の代わりに「順番決定ポイント」が与えられる、のです。
この仕組みによって
基本的にどのような製品やサービスもすべて「無料」になるのです。
(実際には「貨幣による交換」は行われず、「順番決定ポイントによる交換」が行われる、ということになります)
「基本的に無料」というのは
自国内で得られないものは、海外から購入しないとならないため、そのぶんの価値は上乗せされる、ということによります。
「海外から購入って……お金が存在しないシステム上でどうやって売買するのか?(順番決定ポイントで支払う、とか通用しないでしょ?)」
海外からものを購入する
海外旅行時に使う
為替
……等に
対応するため
「外国交換用のお金」は与配主義下でも造られることとなります。
海外旅行時等は、順番決定ポイントを「外国交換用のお金」と交換し、さらにそれを現地通貨と交換するというような形になります。
少し面倒な形ではありますが
与配主義内で順番決定制度を用いることによって
「ほぼ無料で造られた製品を海外に輸出できる」ということを考えると……
それが、いったいどれほどの利益を生むのか、想像してみてください。
高品質なものを
世界で最も安く造ることができ
世界で最も安く売ることができるのです。
このことにより
与配主義経済を採用した国が
世界で最も儲けられる国、になるのです。
(他の国々も与配主義を選択した場合は別ですが)
……ということで
与配主義において
土地とそこから産出される価値を公有することの意義が説明されました。
土地の公有や国有というと
共産主義的なイメージが強いかと思われますが
それよりも
資本主義において経済のネックになっている部分を見直す、という意味合いが強いことを強調しつつ、今回の更新を終わります。